遠い夜空の向こうまで連れてってよ

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)

いくつかの短編が例によって
うずまきのように重なっているようなそうでもないような
そんなカンジのいつも通りの
伊坂幸太郎的な世界観で書かれていてとってもミュージック!


死神が純粋で素直でかわいくてなんかよいです。
たたみますね。


昔、「霊前大五郎本舗」っていうラジオドラマを偶然聴いたことがありまして。
15年とか20年とか前だな…確か。
それが死神にもサラリーマン的な社会があって、
それでいて自分の対象になった人の死について悩む、っていう話だった。
それを思い出した。
それは深夜に放送していた記憶があって。
とにもかくにも深夜に人間について悩む死神の話を聞いた。


雨が降る世界のなかで、人の生死を決める。
事務的な心理状況のなかで、新鮮に人間について考える死神。


最後のシーンで「人間も悪くないんじゃないか?」って気がついたカンジがして、
なんだか爽やかな気分になりました。


伊坂さんの今回の大きな糸が同軸的に流れる世界じゃなくて、
時間軸のトリックを使っていたのがなんだか新鮮でした。
結構好きな本だ。もう一回読む。